インドネシアは現在のジャカルタから2000キロ離れたカリマンタン島にあるヌサンタラに首都を移転する計画を進めています。
歴代の大統領が実行を検討し続け、現在のジョコ大統領により実現される運びとなりました。2024年には移転を開始し、2045年までには完了する予定だそうです。
この計画を知った時、「本当にするんだ」という驚きと「できるのかな」という実現可能性への懐疑的な気持ちが否めませんでした。
現在のジャカルタはかなりの過密都市。昔ジャカルタに行った際には交通渋滞に巻き込まれ、予定の1時間以上遅れて到着ということも経験しましたが、今はそれよりも過密が進み、地盤沈下や環境汚染も深刻です。また、経済的な側面から見ても、2019年のデータによると「国内経済の70%がジャカルタで回っている」 ので、いかにジャカルタへ一極集中しているかがわかります。
このような地域格差や環境汚染の問題を解消するために、国内にある1600の島々のほぼ中心にあるカリマンタン島のヌサンタラへと移転が決まり、現在移転に向けた計画が進んでいます。
日本でも過去に東京への集中や首都移転の可能性なども聞いたことがありますが、インドネシアのようなスケール大きい本格的な話は日本では今までおそらくないと思います。以前から検討していたとはいえ、ここに踏み出した現政権の政策に並々ならぬ決意を感じます。同じような必要性が日本で出てきた場合、このような大胆な政策に着手する実行力はあるでしょうか。
ただ、2024年には移転を始めるということで、そんなにスピーディーにスケジュールが進んでいくのだろうかと思ったりもします。また主要な移転要因である地域格差の解消に対して、莫大な予算に見合うだけの結果をもたらすのか、首都移転の成功を図るには長い年月を必要とするでしょう。また環境汚染などの懸念も一因と言われていますが、新しい首都ヌサンタラが第二のジャカルタの状況にならないような環境への配慮は十分なのかということも考えられます。
インフラ整備の問題だけではなく、人の移住や移動の問題もあるでしょう。首都機能の移転は建物の移動だけではなく、人の移住も伴います。仕事とはいえ、もともと住み慣れた便利な大都市から、新しく開発された都市への移住をすんなりとどのくらいの人が受け入れるでしょうか。
また今後もジャカルタが引き続き経済の中心を担うにしても、政治と経済の中心が離れていることは、必ずしも利点ばかりではありません。例えば、官庁での予定が入れば関係者は2000キロも離れた場所へも出張をする必要がでてきます。これだけの距離が時間的物理的なハードルになる場合もあるでしょう。
さまざまな問題は今後も予想されますが、大きな一歩を踏み出したインドネシアの政策に注視をしていきたいと思います。
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